選び方
Even G2とは何か。私が最初のスマートグラスに薦める理由
頭を上げて情報を見る。腕を上げずに操作する。Even G2を毎日使い続ける理由を、アプリとメガネの細部から紹介する。

初めてスマートグラスを選ぶ人に、私がまず薦めたいのはEven G2だ。価格は高い。それでも薦めるのは、スマホを見るための小さな動作を減らし、毎日のメガネとして使い続けられるからだ。
G2は、Even Realitiesが作るディスプレイ付きのメガネ。スマホとつないで使い、左右のレンズ越しに緑色の文字や図を表示する。通知、翻訳の字幕、発表用の原稿などを、景色を見ながら読める。カメラもスピーカーもなく、情報を視界で読むことに絞った製品だ。「単色の画面表示があり、カメラはない」タイプで、日本でもこのジャンルへの関心は高いと感じる。

頭を少し上げる。それだけで情報が見える
G2で気に入っているのが、頭を上げるとダッシュボードが現れる「Head-Up」だ。スマホを取り出さなくていい。スマートウォッチを見るときのように、腕を上げる必要もない。
私がこの動作に馴染んだのは、前モデルのG1からだった。今では別のメガネをかけていても、情報を見ようとしてつい上を向くことがある。それほど日常の動作になっている。

日常でよく使うのは通知だ。PCで作業しているときに認証コードを読んだり、連絡に今すぐ返事が必要かを判断したりできる。次にやることを確かめるため、少し上を向く。それで済む場面が増える。
通知には届いた時点で自動表示する設定もある。Head-Upで開くダッシュボードは、表示する項目や反応する角度をアプリで調整できる。自分の姿勢に合えば、「操作している」という意識すら薄くなる。Head-Upの設定
新しい機能を覚えるより、これまで何度もしていた動作が少し楽になる。私にとって、スマートグラスの変化はここにある。
このジャンルでは、ソフトウェアが頭ひとつ抜けている
G2を薦める一番の理由は、ソフトウェアの完成度だ。単色表示があり、カメラを持たないスマートグラスの中で、現状のG2は間違いなく一番いいと私は評価している。ほかの機種とは、まだ大きな差がある。スマホのEven Realitiesアプリも含めて、日々使う道具として仕上がっている。
通知するアプリを選ぶ。よく使う機能をメニューの上に置く。ダッシュボードに見たい項目を並べる。こうした調整ができるので、仕事中は通知を中心に、外国語を聞くときは翻訳を、と自分の使い方に寄せられる。

翻訳でも、私は単に機能があることより、字幕を追いやすいことを評価している。G2ではG1より表示範囲が広がり、文字を読むのが楽になった。初めて使う人ほど、機能の数より「必要なときに迷わず使えて、楽に読めるか」が大切だと思う。
さらに、自作アプリを使える余地もある。G1の頃から個人開発の取り組みがあり、G2には公式のEven Hubがある。用意された機能だけでは足りない人は、自分の見たい情報を出すアプリを作れる。

アプリはメガネの中だけで動くわけではなく、スマホ側で動き、G2へ表示や操作をつなぐ仕組みだ。普段は標準機能で使い、必要になったら自分の用途にも広げられる。メーカーが標準機能を提供するだけでなく、個人開発者やコミュニティにも道を開いている。この姿勢も、Even Realitiesを評価している理由だ。
高級なメガネとして、かけ続けたくなる
G2は、メガネとしての仕上がりもいい。つるにはチタン合金を使い、レンズには反射や指紋を抑えるコーティングを施している。私が使っていても、マットなつるは指紋が目立ちにくい。触って操作する製品だから、こういう細部が毎日効いてくる。素材と仕様

度なしモデルはレンズ込みで公称約36g。私の度付きG2は実測45.7g。G1より側圧が弱く、長時間かけやすくなったと感じた。電池も普段の使い方なら1日困らない。翻訳を長時間続ける日は充電ケースを使うが、通常の日は電池を強く意識せずに過ごせている。
カメラがないことも、人と会うときにかけ続けやすい理由だ。相手に「撮影しているのかな」と気にさせにくく、使う側も盗撮を疑われる心配が減る。日本でこのタイプに関心が集まる背景にも、そうした社会的・心理的な安心感があるのだと思う。見た目が普通のメガネに近いことと合わせて、日常に持ち込みやすい。
私はICLを受けて度付きメガネが必須でなくなったあとも、G2を使い続けている。視力を補う必要だけでなく、これをかけていると便利だから選んでいる。
操作には、まだ改善してほしいところがある
完成度が高いからといって、全部が満点ではない。G2はつるのタッチパッドで操作するが、髪がかかるなどして反応しにくいことがある。物理ボタンのように、押した感触で操作を確かめられないのも弱点だ。
操作の確実さでは、RayNeo iOの物理的なSmart Crownがよかった。回して選び、押して決める動きが分かりやすい。一方、G2はIP65、iOはIP54の防塵防水性能を持つ。G2の操作部を含めた設計は、日常でかけ続けるための耐候性を重視したトレードオフなのだろう、と私は受け取っている。G2の仕様・iOの仕様

G2には、別売の指輪型コントローラー「Even R1」もある。これなら、メガネへ手を伸ばす動作を減らせる。腕を下ろしたまま操作できるので、私はかなり気に入っている。

ただし、R1もタッチ操作なので、反応にはまだ改善してほしいところがある。G2本体でも使えるから必須ではないが、毎日使うなら一緒に試してほしい。
私にとって、ほかのスマートグラスを比べる基準
G2は安い買い物ではない。それでも、高級なメガネとして毎日かけ、その上でスマホを見る手間が減るなら、長く使う価値があると私は思う。特に、普段からメガネをかける人には取り入れやすい。裸眼で過ごす人は、便利さのためにメガネをかけ続けたいかが判断の分かれ目になる。
私にとってG2は、いま一番便利で、使い続けたいスマートグラスだ。頭を少し上げる動作、読みやすい表示、アプリの調整、手元での操作、指紋が気になりにくい仕上げ。一つひとつは小さいが、積み重なると毎日の体験が変わる。
だから、ほかの機種を見るときも「G2くらい自然に使えるか」を基準にする。最初のスマートグラスとして薦めたいのは、珍しい機能を試せるからだけではない。日常の道具として、すでに手放しにくくなっているからだ。
詳しい使用感はEven G2&R1の1週間レビュー、指輪の使い心地はEven R1の記事にまとめている。
RayNeo iO
Even G2