比較
INMO GO3 vs Rokid Glasses:カメラ付きスマートグラス2台を比べた
INMO GO3とRokid Glassesを実機で比較。撮影の速さ・画質・かけ心地・タッチ操作・翻訳の持ち時間から、2台の得意な使い方を考える。
初出:note

カメラ付きのスマートグラスを選ぶとき、私が基準にしているのはRokid Glassesだ。両手を使ったまま撮れて、字幕やAIの回答を視界で読める。操作の手間やバッテリーに課題はあるものの、カメラ付きを選ぶならまずこれと比べればいい。
その基準に挑んできたのがINMO GO3だ。ディスプレイ、カメラ、スピーカー、マイクを載せた同じ全部盛りの構成で、定価は約1万円安い。Kickstarterで支援し、10月上旬に届いたGO3を1週間使った。この記事では、カメラ付きスマートグラスとして2台を数字と実機の両方から比べる。
カメラ、動画、処理性能、ソフトはRokid。見た目、タッチ操作、翻訳の持ち時間、付属品はGO3。カメラ付きスマートグラスとして選ぶなら、今はRokidだ。ただし翻訳を長く使う人には、GO3を選ぶ理由がある。
スペックを並べる
INMO日本公式とRokid日本公式の数字を並べた。空欄は公式ページに記載がない項目だ。

2台の仕様は、このサイトの比較画面でも並べて見られる。
Rokid GlassesとINMO GO3の仕様を並べて見る。
表示まわりはほぼ互角だ。視野角も輝度も同じで、見え方の差は数字には出てこない。差が開いているのはカメラと動画、そして中身だ。
カメラはRokidが1200万画素、GO3は800万画素。動画になると差はさらに大きく、GO3は720p・30fpsで1回60秒まで、Rokidは最大3Kまで撮れる。画角はGO3が120°と広く、写る範囲はGO3のほうが広い。
中身の差も大きい。RokidはスマートグラスのためにQualcommが作ったSnapdragon AR1を積み、メモリは2GB。GO3は型番の出ていないデュアルコアのCPUで、メモリは256MBしかない。8倍の差だ。通信もRokidはWi-Fi 6、GO3は2.4GHzのWi-Fiだけになる。
逆にGO3が勝っているのはバッテリーだ。容量は270mAhと210mAhでGO3が大きく、しかも交換できる。充電ケースも最初から付いてくる。
この数字の差は、使ってみた感触とほぼ一致した。以下、実機で比べていく。
撮るまでの速さ:Rokidの勝ち
カメラ付きスマートグラスの価値は、スマホを構えずに撮れることにある。両手がふさがっているとき、子どもと遊んでいるとき、目の前のことを中断せずに残せる。だから一番大事なのは、撮りたいと思ってから撮れるまでの速さだ。
ここでRokidが圧勝した。Rokidは物理ボタンを押せば、1秒かからずに撮れる。
GO3には撮影専用のボタンがない。ボタンを押してメニューを開き、カメラを選んで、やっと撮れる。好きな機能を割り当てられるGOボタンにカメラを設定しても、カメラの起動に約1秒かかり、そこから自動で1枚撮るまでまた待たされる。

たかが1秒と思うかもしれない。でも撮りたい瞬間は待ってくれない。子どもが変な顔をしても、GO3でメニューをたどっている間に、その顔は終わっている。
カメラの起動が遅い理由は外からは分からない。ただ、256MBのメモリで録音、翻訳、カメラをこなしているGO3と、2GBを積んだRokidとでは、余裕に差があってもおかしくない。
撮影画面:Rokidの勝ち
撮影まわりの画面の作りも、Rokidのほうがよく考えられている。
Rokidは撮影待機中、視界にフォトフレームの枠だけが出る。ボタンを押せば撮れて、撮った写真がプレビューで出る。必要なものしか出てこない。
GO3は視界にシャッターボタンが出る。

いや、押せないだろ。スマホじゃないんだから。
スマホのカメラアプリの画面を、そのまま視界に持ち込んでいる。押せないボタンは、視界の中ではただのノイズだ。録画を始めるとシャッターボタンが四角に変わり、経過時間が出るのもスマホと同じ作りになっている。撮ったあとはプレビューも出ないので、ちゃんと撮れたのかが視界の中では分からない。
画質と動画:Rokidの勝ち、夜は特に
昼は、並べなければそこまで大きな差は感じない。ただ並べると、Rokidのほうが細部まで精細に写る。GO3は画角が120°と広いぶん、写る範囲は広い。

差がはっきり出るのは夜だ。同じ交差点を夜に撮った作例がこれだ。

GO3は街灯の光が大きくにじんで広がり、周りがつぶれる。Rokidは光のにじみが小さく、奥のビルの窓まで写っている。夜に撮る機会があるなら、この差は大きい。
動画はさらに差がつく。GO3は720p・30fpsで、1回60秒までしか撮れない。しかも横向きのみだ。子どもと遊んでいる様子を撮っていると、すぐに止まる。Rokidは最大3Kで撮れる。連続録画時のバッテリー持ちは公称45分以上だ。ただし、公式FAQで案内されている1本の動画の長さは最大10分だ。録画を続けられる時間と、1本の動画の上限は分けて考えたい。動画を撮りたいなら、GO3は選択肢に入らない。
GO3には、カメラを物理的に隠すカバーが付いている。付属品として9枚入っていて、カメラを気にする相手と会うときに貼っておける。私はほとんど使わなかったが、配慮としてはいい。
見た目:GO3の勝ち
カメラ以外の部分では、GO3が健闘している。
まず仕上げだ。Rokidはフレーム全体が光沢のある黒で、触ったところが全部指紋になる。タッチ操作するテンプルまで光沢なので、使うほど指紋が増える。GO3はマットな仕上げで、1週間使っても指紋がほとんど目立たなかった。
正面から見たときのフレームの細さもGO3に分がある。普通のメガネとして通る見た目だ。

かけ心地:Rokidの勝ち
ただし、かけ心地は逆転する。
GO3はテンプルの後ろ、バッテリーが入る部分が太い。ノギスで測ると、GO3は6.0mm、Rokidは3.4mmだった。約1.8倍の差がある。この太い部分がちょうど耳に当たり、私は長時間かけていると少し痛くなった。


重さはGO3が58g、Rokidが49gで、9gの差がある。交換式バッテリーと大きめの容量は魅力だが、重さと耳への当たりは気になった。Rokidは鼻パッドにクッション性があり、テンプルも柔軟に開くので、長時間かけていても楽だった。
タッチ操作:GO3の勝ち
操作はどちらも右テンプルのタッチセンサーで、スワイプやタップを使う。差が出たのは、触ったときに範囲が分かるかどうかだ。
GO3はタッチセンサーの前後に小さな突起があり、指で触ればどこからどこまでが操作できる範囲か分かる。Rokidはこれが分からない。スワイプできる範囲を触っても見当がつかないので、慣れるまでは位置を外した。

どちらにも指輪型のコントローラーが用意されている。GO3用はRing4だ。ただ、これは勧めない。スワイプの向きが指輪の輪に対して90度なので、リングの幅しか指を動かせない。ワンサイズで、成人男性の私の人差し指でもブカブカだった。全部盛りを一通り試すにはいいが、操作の道具としては使いにくい。

翻訳とバッテリー:GO3の勝ち
GO3が明確に勝つのは、翻訳を長く出し続ける使い方だ。
GO3のバッテリーはテンプルの後ろにあり、マグネットで外せる。270mAhのバッテリーが予備を含めて2個付いていて、切れたら差し替え、再起動して使い続けられる。公称では会話翻訳のような高負荷で1個あたり約2.5〜3時間。実際に同時翻訳の表示を出しっぱなしにしても、1個で3時間はいけた。
Rokidは5月に試したとき、翻訳を出し続けると約2時間で電池が切れた。バッテリーは210mAhの内蔵で、切れたら本体を充電するしかない。80%まで約20分と充電は速いが、その間は使えない。充電ケースは別売で、装着したまま給電できるPower Capsuleも別売だ。

通訳のように「この時間だけはずっと翻訳していたい」場面では、この差がそのまま使える時間の差になる。GO3は差し替えると一度電源が落ちて起動し直す必要があるが、それでも止まるよりはずっといい。
翻訳の表示もGO3は悪くない。字幕は1文ごとくらいでまとめて切り替わり、出てくるまでは結構速い。日本語の文字起こしには怪しいところも多いが、意味はざっくり取れる。オフライン翻訳はGO3が9言語、Rokidが8言語で、どちらも日本語と英語に対応している。

一方で、部品が増えるのはGO3の弱点だ。Rokidは本体とケーブルだけで済むが、GO3は予備バッテリーと充電ケースを持ち歩くことになる。ケースはワイヤレスイヤホンのケースくらいの大きさなので負担は小さいが、分かれているものは無くす。ズボラな人には向かない。

ソフト:Rokidの勝ち
ソフト全体の完成度は、間違いなくRokidが上だ。撮影画面に表れているように、GO3はスマホの発想を視界にそのまま持ち込んでいる場面が多い。1週間使って、ハードよりもソフトのほうが気になった。
自分でアプリを作りたい人にも、Rokidを勧める。Rokidには自作したアプリを公開できる仕組みがある。INMOにはまだ開発者向けの仕組みがなく、今後公開する予定があるという段階だ。
顔認識:GO3にしかない、まだ使えない機能
GO3を買ったもう1つの理由が、AR Social Business Cardという機能だ。メガネをかけると、目の前の人の名前や会社、過去のやりとりが視界に出る。中国での発表時には、手動で登録した相手をオフラインで顔認識し、情報は端末に保存すると説明されていた。
この機能はまだ使えない。最近のアップデートで設定に「この機能を使うか」という項目が増えたので、準備は進んでいるらしい。
カメラ付きスマートグラスで顔認識をするのは、攻めた試みだ。Metaは2026年6月、スマートグラス用アプリに未公開の顔認識のコードが入っていたとWIREDに報じられ、数日後にそのコードを消している。
Meta Silently Added Face-Recognition Code for Its Smart Glasses to Millions of Phones
それでも私は体験したい。人の顔を覚えるのが苦手な人間にとっては、救われる場面が確実にある機能だ。カメラが付いている意味を、撮影以外で初めて感じさせてくれるかもしれない。使えるようになったら、続きを書く。
結論:カメラで選ぶならRokid、翻訳で選ぶならGO3


カメラ付きスマートグラスとして選ぶなら、今はRokid Glassesだ。撮りたい瞬間に物理ボタンですぐ撮れて、写真も動画も画質が上で、夜の差は特に大きい。チップとメモリにも余裕があり、ソフトもこなれている。アプリを自作したい人にも向いている。
翻訳を長く出し続ける場面があるなら、INMO GO3を選ぶ理由がある。交換式バッテリーのおかげで、交換と再起動を挟めば、本体の充電を待たずに翻訳を続けられる。充電ケースと予備バッテリーが最初から付いて、定価は約1万円安い。指紋のつかない仕上げと自然な見た目もGO3の良さだ。まだ使えない顔認識に期待できる人も、GO3になる。
ちなみに、カメラが要らないなら、カメラもスピーカーも載せずに軽さとバッテリーを優先したEven G2という選択肢もある。毎日かけるメガネとしての完成度はそちらが上だ。
どこで買うか
GO3もRokidもAmazonで買える。
INMO GO3をAmazonで見る/Rokid GlassesをAmazonで見る(広告)
GO3はAmazonプライム感謝祭2026のセール対象で、10月14日0時11分の時点で84,830円だった。Rokidは日本公式ストアの秋のセール(10月16〜19日)で98,900円だった。いずれも当時の価格なので、現在の価格と販売条件は商品ページで確認してほしい。
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